医療に関する健康保険については、保険加入者である被保険者、医療機関、保険者の3者がお互いに関わり合って運営されています。
一般的な災害保険などの場合は、被保険者と保険者が直接やり取りし、もし保険加入者が火災などの被害を受けた場合は、直接保険者から保険金が支払われることになります。
一方、医療に関する健康保険では、被保険者と保険者が直接やり取りすることはなく、保険者へ治療費の名目で医療機関が診療報酬として請求し、給付を受ける仕組みになっています。
これは、患者の怪我や疾病を治療するために一旦、医療機関が介在するからです。
保険医療機関と保険医とは
医療機関が保険診療を実際に行う為には、厚生労働大臣より保険診療に携わる機関として指定されている必要があります。
健康保険で指定された病院や診療所などの医療機関を保険医療機関と呼び、登録された医師を保険医と呼びます。
二重指定制度とは
保険診療を行う為に、保険医療機関としての指定方式と保険医としての登録方式の2つの方式が採用されており、二重指定制度と言われています。
二重指定制度は、保険医療機関と保険医の責任分担を明確にし、保険診療のスムーズな運営を図ることが大きな目的です。
診療報酬請求などの事務的、経済的責任を医療機関が負い、診療上の責任などを医師個人が負うことで分担を明確にし責任を持たせようというのが狙いです。
保険診療を行うのは、保険医療機関の指定を受けている医療機関、保険医として登録されている医師に限り行うことができます。
また、指定・登録を行うことの利点は、特別な手続きを行うことなく、保険医療機関・保険医は、国民健康保険以外の各医療保険法に於ける保険診療を受け持つことができる点です。
但し、診療取扱医療機関として事務的経済的に主となり、国民健康保険医として医療に責任を持つ者としての申請・受理という形式で、健康保険の指定・登録を行う際に、並行して手続きを行うのが慣例となっています。
一方、患者さんが病院(保険医療機関)で診療を受けた後、医師(保険医)から薬の処方箋をもらい、調剤薬局で薬を受け取りますが、この調剤についても、保険医療機関や保険医と同じ手続きが必要になります。
保険診療に於ける薬局を保険薬局、薬剤師を保険薬剤師とも言います。