このページでは、医療保険などの給付制限がかかるのはどんな場合かについて解説していきます。
医療保険の給付制限について
保険加入者や被扶養者に保険給付の対象事項に該当する事故が起こった時や仕事中以外に発生した怪我や病気が健康保険の給付対象になります。
これ以外に意図的に事故を起こしたり犯罪などの行為を行った場合は、健康保険法の給付対象外となり給付金額の全額または一部が支給されません。
これらの行為は、健康保険制度の目的や理念から大きく逸脱するため、支給条件に沿って判断され給付制限がかかる仕組みになっています。
健康保険の給付制限に該当する項目
次に示すような場合は、全額または一部の保険給付が行われません。
- 犯罪行為を保険加入者や扶養家族が起こしたことが原因での事故や意図的な事故で発生した怪我や病気。
- 保険加入者や扶養家族の喧嘩、飲酒、問題行為などが原因で発生した怪我や病気。
- 保険者からの指示や医師の指導を正当な理由なしに従わず、診断や療養を拒否した場合。
- 保険給付を正当でない行為により受給しようとした場合。
- 文書や物品の提出命令、質問への回答、受診など保険者からの調査を正当な理由なしに拒んだ場合。
- 療養給付が、健康保険以外の法規定により、国や地方公共団体など公費負担となり給付される場合。
保険医療機関の通知義務
患者が以下の項目に該当する場合には、保険医療機関は、患者が被保険者となっている健康保険組合や保険医療機関を管轄する地方社会保険事務局長に通知する義務があります。
- 家庭事情が原因で退院が難しい場合。
- 喧嘩、飲酒、問題行為が要因で事故を起こした場合。
- 診断や療養にかかわる指示などを正当な理由なしに拒否した場合。
- 療養給付を不正行為を行って受給しようとしたり、してしまった場合。
自動車事故など第三者行為による健康保険の適用は?
自動車事故で他人から怪我などを負わされ被害を受けた場合は、通常、加害者側が損害賠償支払いを行いますが、健康保険の適用は、このようなケースでも受給することは可能です。
もし上記のように第三者行為が原因で傷病を負い診療行為を保険給付で受けた際は、「第三者の行為による傷病届」という書類を作成し保険者に提出する必要があります。
この提出書類には、加害者の住所・氏名、連絡先、起こした事故内容等を記入する必要があります。
以上のように健康保険適用で被害者が診療行為を受けた場合は、損害は健康保険から保証されたという結果になり、改めて加害者への損害賠償請求は不要となり、いわゆる加害者への損害賠償請求権は喪失します。
一方、保険者は保険給付を実施したわけですから、被害者から損害賠償請求権を代理で取得したことになり、保険給付を行った同レベル内で、損害賠償を加害者に請求することが可能となります。