現在の医療機関では、病院の顔ともいえる医療事務をはじめとして、全医療職従事者がホスピタリティをどのようにして向上させるか考え実践していくことが、患者に信頼され来院してもらうための肝となります。
医療機関におけるホスピタリティの基本
医療の安全確保と従業員教育
ホスピタリティが行き届いた病院にするには厚生労働省令の規定に基づいた医療の安全性を担保できるような運営方針を明確化し、従業員に安全第一とその重要性を研修などで周知徹底することが基本です。
ホスピタリティ云々の前に、医療の安全を守れる環境が確保されていることが最優先で重要です。
安全が基本となり、患者に接する際、通常のコミュニケーションにホスピタリティ要素を加えたコミュニケーション技術が必要になります。
ホスピタリティが行き届いた病院にするためには、医療機関で働く全職員各自が、患者に向けてホスピタリティを実践していく必要がありますが、その礎としてリーダー育成や職員指導を行うことが不可欠です。
医療機関の職場環境や事情によっては職員の入れ替わりが多い職場もありますが、従業員が変わっても、ホスピタリティを実践していけるような教育カリキュラムを作成し、研修や教育を行う仕組み作りをしておくことがポイントです。
このような取り組により、病院内におけるホスピタリティを組織風土化していけるようにすることが重要となります。
ホスピタリティが徹底された医療機関とは
ホスピタリティが徹底された病院では、医療に従事する職員各自が患者満足を高めるために実践することをしかりと理解し、全組織をあげて患者個々のニーズにこたえ満足度を高める努力が行われています。
また、それだけでなく医療事務職員や医療専門職の従業員満足度を高める努力も並行して行われています。
医療サービスを行う場合、チーム医療が一般的になっていますが、ホスピタリティ(患者へのおもてなし)を行う場合も同じで、チーム連携で提供することがポイントです。
高度な医療や看護の技術に加えてホスピタリティが加わると、大きな喜びや感動、高い充実感や満足感を患者が覚えるようになり、患者は笑みを浮かべるなど、外見にも表れてきます。
このように具体的な患者の喜ぶ姿を見ることで、職員も心に大きな喜びや満足感や達成感を感じることができ、組織風土として定着していけば、職員本人の存在価値が向上し仕事に対するモチベーションをアップさせることに繋がります。
ホスピタリティが行き届いた医療機関に変革していくことで、最終的には患者だけでなく職員個々も大きな満足感や充実感を得ることに繋がり、組織として質の良い医療サービス提供を行うことに貢献できることになります。
但し、患者が信頼し安心できる安全で高い医療技術や看護技術に基づいて医療サービスが行われていることが基本原則となり、その上でこそ患者が満足できるホスピタリティを提供することが可能になります。
医療機関でホスピタリティを高める方法
医業経営理念にホスピタリティの考えを取り入れる
医療分野における状況は目まぐるしく変化し、医業経営にも計画だったマネジメントが必要になり、経営理念、事業方針・計画・目標などを策定し、常に改善していくことが求められるようになってきました。
よって、病院などの経営理念や運営方針にはホスピタリティの考え方を盛り込むことが一般化しており、ホスピタリティを高めるには、組織的に取り組む必要があります。
ホスピタリティの管理サイクル(PDCA)を回す
一般企業の経営改善では、現状把握から計画立案・実施・実施状況や効果の確認・改善というステップで管理サイクル(PDCA)を回しながら改善が進められています。
医療機関でも基本的に考え方は同じで、ホスピタリティを根付かせるには、次のようなステップで進めて行きます。
段階 | ホスピタリティ向上の流れ | ホスピタリティ向上の具体策 |
1 | 現状把握 |
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2 | 取り組み姿勢の明確化 |
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3 | 向上させるための仕組み構築 |
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4 | 仕組みに基づき実施 |
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5 | 仕組みを実施しながら継続改善を行い、向上させていく。 |
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