医療事務関連の仕事と言っても、大きくは医科、歯科、調剤の3つの職種に分かれますし、必要となる専門知識も全く異なります。
なので、次のような順序で自分の希望に合った分野を絞り込み、仕事に必要な知識を学べる医療事務資格や講座を見つけるようにしていきましょう。
1. 自分が働きたい医療事務の分野を決定する
医療事務の職種は、医科、歯科、調剤の3分野に大きく区分できます。
主な職場は、医科医療事務は一般病院が、歯科医療事務は歯科医院が、調剤事務は薬局が就業先になります。
この中から、まず自分が目指したい医療分野を決めることが、どの資格を取得すればいいかを決定するための第一歩になります。
もし医療事務を初めて目指す方であれば、どんな医療機関(病院・歯科医院・調剤薬局など)で働きたいかを検討し決まれば、それぞれの分野で難易度中程度の標準的な資格を取得する方向で進めていくのが妥当だと思います。
また、どの分野に進めばいいかわからない、資格はどれを取ったらいいかわからない、という方であれば、まず医科の医療事務資格から中難易度の資格を選んでおくと、受験に失敗する可能性も低く、どの医療機関でも通用します。
その後、働いていく中で興味がある分野や自分に向いている分野がわかれば、取得した資格をベースにしてステップアップすることは容易にできます。
次に自分に向いている医療事務のジャンルを決めるための判断基準となる確認項目をあげてみましたので、一度チェックしてましょう。
1-1.自分に合う医療事務ジャンルをチェックする
下記のチェック表で、自分に合う医療事務のジャンルをチェックします。
- 確認項目に対して「イエス」の場合は、□にVチェックを入れる。
- 「Vチェック」を入れた行の右側には、自分に合う医療機関ジャンルに●印がついている。
自分に合った医療事務ジャンルのチェック表 | |||||
確認項目 | 医科 病院 |
医科 診療所 |
歯科 医院 |
調剤 薬局 |
|
@ | □ 働きたい職種分野にこだわりはない | ● | |||
A | □ 認知度が高く標準的で汎用性のある資格を取得したい | ● | |||
B | □ 医療より医薬品に関心がある | ● | |||
C | □ お医者さんの仕事のサポートやアシスタントをしてみたい | ● | |||
D | □ どちらかというと事務より体を動かす仕事の方が好きだ | ● | |||
E | □ 安定した規模の大きい医療機関で仕事をしたい | ● | |||
F | □ 自分が全体を切り盛りできる職場で働きたい | ● | |||
G | □ 医療事務業務は、一通り何でもこなせるようになりたい | ● | |||
H | □ 医療事務の各分野のエキスパートになりたい | ● | |||
I | □ 医療秘書に関心があり秘書的な仕事をしてみたい | ● | |||
J | □ レセプトの知識や技能をみっちり勉強し習得したい | ● | |||
K | □ パソコン関連資格をフルに活かしたい | ● |
1-2.医療事務として働ける場所は
医療事務スタッフとして働ける場所は、いろいろありますが、次に主な職場について見ていきましょう。
病院の概要
病院とは、20床以上の入院施設を備えている医療機関のことをいいます。
診療科目は、内科、外科、整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、小児科、産婦人科などいろいろな分野があります。
医療事務の業務はレセプト業務を中心として、外来患者と入院患者への対応業務に大きく分かれますが、病院によって担当する業務は様々です。
大学病院・総合病院の概要
大学病院や総合病院は、病院と違い規模が大きいため組織も分業制になっていて、業務を分担してそれぞれ決まった仕事を行うところがほとんでです。
また、大学病院では病棟クラークや医療秘書に携わるスタッフも多くいます。
診療所・医院の概要
診療所は、入院施設がゼロか19床以下の医療機関のことをいいます。
病院より診療所は規模が小さいので医療事務職員数も少なく、ほとんどの場合、一人で広範囲の業務をこなすことが求められますが、仕事の流れや業務全般を経験し内容を覚えることができるのが特徴です。
歯科医院の概要
医科と歯科の仕事が医療事務にはありますが、歯科医療事務の場合は、レセプト業務や受付・会計の窓口業務だけでなく、歯科医師や歯科衛生士の業務アシスタントを歯科助手として補助するという現場での仕事の比重も大きくなります。
この点が医科医療事務との大きな違いです。
また、医科医療事務資格を取得していても歯科の仕事では通用しない点が多く、歯科医院に勤務する場合は、歯科医療事務や歯科助手の資格を取得する必要があります。
調剤薬局の概要
調剤薬局とは、病院で診療を受けた患者が医師から処方せんをもらい、調剤薬局の窓口に提出し薬剤師がその処方せんに基づいて薬を調剤し、患者に服薬指導を行い薬を提供する施設のことです。
調剤薬局の医療事務は、調剤薬局事務と言われ、患者や処方せん受付などの対応をしたり、調剤報酬請求業務、薬剤師の事務的な補助などを行います。
その他の職場
その他の職場としては、看護ステーションやリハビリテーションセンター、会社内健康増進センターなどがあり、高い専門知識や技能を活かせる職場ではレセプト業務代行会社、医療関連会社による医療事務のインストラクターなどのニーズもあります。
2. 自分に合う医療事務ジャンルが決まったら目指す資格を探す
各分野の医療事務資格の種類は多く、財団法人・社団法人、株式会社などが各資格試験に対応した通信講座・通学講座・専修学校などを開講しています。
受験資格や受験形態は資格や受講校によって異なり、通信講座を受ければ在宅受験できる講座も多くあります。
医科・歯科の医療事務に関する資格種類・試験日程・試験内容記事一覧
3. 資格試験の内容を確認する
医療事務の資格概要を確認し、疑問があれば主催団体へ問い合せを行います。
特に試験の頻度や試験日の確認を行い、いつ頃までに講座を修了すればいいのかなど逆算しておくことも重要です。
4. 資格に対応した講座を探す
目指す資格が決まれば、その資格試験に対応した複数の医療事務講座・スクールを比較し受講する講座を決定します。
また、医療事務の仕事は以前から人気の職種ですので、資格取得者も多くいます。
今後も増加し続けることが予想できますが、求人採用で他人より有利な立場で臨めるようにするには、一般的な資格だけでなく、さらに技能の幅を広げたり、技能向上につながるような資格を取得することも重要です。
時間とお金に余裕があれば、複数の資格取得を目指すとよいと思います。
実際、医療事務の仕事は一旦資格を取得しても、診療報酬や制度の改訂が必ず行われるので、その都度新しい内容や改定された内容を理解・学習し続けることが必要になります。
具体的には新しい医療技術や検査方法、新薬などの概要は診療点数とも関係するので、知っておく必要があります。