医療サービスの種類と特徴
医療サービスの種類と一般サービスとの相関性
病院などの現場では、医療事務が患者応対を行ったり、医師が患者を診療し、看護師は患者を看護・介助するなどのサービスを提供しています。
通常、サービスと言われるものを考えてみると、精神的、態度的、機能的、犠牲的な側面からサービスが行われています。
また、産業分野と医療分野のサービス内容を対峙して見ると、製品や商品に該当するものが医療サービスであり、商品の購入者が患者にあたります。
形態 |
一般的サービスの考え方 |
医療サービスの考え方 |
精神的側面 | 心のあり方、心構え、考え方などについてのサービス。 | 奉仕精神、ホスピスの考え方、思いやり精神、患者中心のサービス。 |
態度的側面 | 顔の表情、言葉使い、話し方、身振り手振り、身だしなみ、動作、服装などに表現されるサービス。 | 医療職の服装、身だしなみ、笑顔、言葉使い、声調、応対動作、態度に表現されるサービス。 |
機能的側面 | 人や組織そのものに価値を与えるサービス。 | 診察、検査、投薬、手術、治療など患者自身に直接行う医療行為、病院施設や設置設備の機能、入院施設の環境などのサービス。 |
犠牲的側面 | 提供側が犠牲となり無償や低コストで行うサービス。 | 献身的な看護・介護、介助、援助、世話などで表現されるサービス。 |
医療サービスの特徴
医療サービスは専門性が高く無形で、サービスの提供と消費が同時に進行していきます。
サービスの提供時期は、病気や事故により不定期で発生し、一旦提供した医療サービスについては再度やり直すことは不可能です。
医療サービスの提供側(医療機関)と受ける側(顧客である患者)が協力し合って、より良いサービスが提供出来ます。
医療サービス提供の効果や品質は、医療機関側と患者側との判断価値基準のズレや協力度合などが大きく影響します。
医療サービス提供のあるべき姿
ここでは、医療機関において患者の目線や立場に立って医療サービスを提供する方法について考察していきます。
患者ファーストの医療サービスが基本原則
医療機関や医療職は、従来から患者に対して一方的に医療サービスを施してきましたが、患者をお客さんと考えず、単に診療・医療を施す物的な考え方で患者に接していたからです。
患者をお客さんと捉えて医療を行うには、患者は黙って医師や医療従事者の言うとおりにすればいいというのではなく、患者に協力してもらい一緒になって治療に参加し取り組むべきだと捉えることが必要になります。
いくら高度医療を行い病気が完治しても、受診中や入院中に医師や看護師、医療スタッフの対応や言動が悪く患者を物扱いすれば、患者は不快感や不信感が募ります。
患者を人として思いやりを持ち笑顔で親切丁寧な対応をした場合と比較すると、病院や医療サービスに対する評価や評判は全然違うものになります。
医療技術の高さは当然必要ですが、同時に患者の気持ちを考え心に寄り添った応対をすることが最も重要です。
ホスピタリティが医療サービスの基礎
医療サービスは、主に次の2つに分かれます。
ホスピタリティを重視した消極的サービス:
看護や介護を行い患者を手助けするような部類のサービスで、医療スタッフの言動、思いやり、奉仕精神、ホスピタリティ精神が中心となります。
機能・活動を重視した積極的サービス:
医療技術や医学知識を活用して患者が臨む期待に積極的に応じていくサービスで、施設、設備、職員のスキルなど医療に関する物的人的資源が中心となります。
以上のように、消極的側面と積極的側面の両面から医療サービスが行われていることをよく認識し、患者=お客さんという捉え方をすることで、患者が満足する医療サービスを行うことが可能になってきます。
医療サービスは無形性であり、同時進行性というのが大きな特徴で、さらに高度な専門性が要求されサービス発生の時期が不定期で事前予想ができず、サービス提供と同時に価値が与えられるためやり直すことはできず、常に人の命に影響を与えることになります。