医療事務の会計業務の流れと内容
外来患者の診療費用を計算し、請求するのも会計窓口の医療事務スタッフの業務です。
会計窓口へは、医師が記入した会計カード、カルテ、処方せんなどが搬送され、受け取った医療事務は、会計カードやカルテ内容を基に提出順に医療費を算出します。
会計カードやカルテに基づき診療行為を点数化
医師により診療内容などが記入された会計カード又はカルテを確認しながら、2年毎に改定が行われている診療報酬点数表及び薬価基準を見ながら、診察料、検査料、注射、投薬料などを点数化していきます。
診療報酬点数表には診療行為が、薬価基準には薬剤料が、材料価格基準には医療材料や器具類の各単価が定められています。
薬価基準とは、医療保険での給付対象になる医薬品一覧と、公定価格表が記載されているもので、2年毎に改正が行われていきます。
全ての医療保険の診療報酬の算出基準が記載されたものが診療報酬点数表になります。
また、点数表として医科医療機関では医科点数表、歯科医院では歯科点数表、保険薬局では調剤点数表がそれぞれ使用され、この3種類には基準が設定されています。
基本診療料と特掲診療料の2つに各点数表は区分され、それぞれの医療分野別に医療保険の適用対象となる診療行為と点数が規定されています。
基本診療料とは、初診料、再診料、入院料などの基本的な診療行為を指し、特掲診療料とは、検査、画像診断、投薬、注射、手術、処置などの費用を指します。
会計業務では、この2種類の診療料を合算して医療費を算出します。
医療事務スタッフは、診療報酬点数表に従い診療行為別に点数を計算し、カルテであれば診療行為に該当する点数を転記し、合計を計算します。
診療報酬点数表は、医療行為の難易レベルやコストにより点数が決定され、1点を10円として計算し診療報酬が算出され、診療報酬の適応対象、範囲、単価については、原則2年に1回見直し改定することになっています。
点数算定は迅速で正確さが医療事務には求められる
診察を受診し終えた患者のカルテに従い、診察料、検査料、注射、投薬料などの点数を診療報酬点数表や薬価基準を基に算出し、診療費の総額から患者が負担する金額を計算し、患者に負担請求するのが会計での業務内容になります。
規模の大きい医療機関の会計窓口は、患者が集中し混雑するのが一番多い場所なので、診療点数を算定する場合、医療事務には迅速で正確に処理する技量が求められます。
診療費の計算を行う
患者の負担金を会計業務で算出しますが、1点10円として診療費の合計額を計算し、患者負担額を計算します。
患者が加入する医療保険により、診療費の自己負担割合が異なるので、割合に応じ患者支払い分のの診療費を計算し、一部負担額を請求します。
被保険者となっている医療保険の種類などにより患者負担割合などが異なる時があり、会計を行う際は確認を怠らないように注意を払い正確に算出することが要求されます。
患者へ診療費自己負担額を請求し徴収する
医師による診療が終わり、会計窓口の医療事務が会計カードを受け取れば、その順に患者負担金額計算し、自己負担額が算出できれば診療費の請求を行い徴収します。
大きな医療機関での会計業務では、何人かの患者人数分をまとめて算出処理し、計算を終えた時点で会計カードを受け取った順に精算していくところもあります。
会計後は診察券の返却と処方箋の手渡し
患者から一部負担金を徴収し終えれば、患者の名前を確認して預かっていた診察券を返却し、患者に処方薬が出されている場合は、処方せんを手渡します。
その場合は、処方せんと患者名とが間違っていないかを必ず確認する必要がありますし、調剤薬局が近辺にある場合は、その場所の案内と、処方してもらえる最終期限もきちんと伝達することも大切です。
レセプト業務
診療報酬点数表などに基づき、診療内容を点数化して診療費を算出し、患者には自己負担割合分の医療費を請求し支払ってもらいますが、負担分以外の費用は保険者に請求することが必要になります。
通常、医療保険の自己負担割合は3割負担となっていますが、残りの7割分の医療費については、医療事務がレセプト(診療報酬明細書)を作成し、保険者が委託している審査支払機関に保険診療費の請求を行い、審査後請求内容に過誤がなければ、医療機関に診療費が支払われることになります。
以上が会計窓口での医療事務の業務内容になりますが、規模の大きい病院では受付と会計の窓口は別になっていて、担当する医療事務スタッフも別々となっています。
一方、規模の小さい医院や診療所では、受付窓口と会計窓口は1ヶ所しかなく、同じスタッフが両方の業務に対応している場合がほとんどです。
実質的には、作業量が倍になるので、患者の待ち時間にも影響するため、医療事務にはスピーディーかつ正確に診療費を計算する能力が必要になります。
患者からの電話での問い合わせや応対もあるので、要領よく対応する臨機応変さも求められます。