女性の場合、結婚・出産して育児・家事を日々行いながら働き続けるのは並大抵のことではありませんが、それでも、働きたいと考えている方は多くいます。
そんな方にとって医療事務は女性に最適な職種です。
とは言っても、医療事務に従事する正職員(正社員)の収入や待遇などについては、他の仕事と同じで、実務経験の豊富さ、有する専門知識・技能など総合的な力量の程度によって、同時期に入社していても個人差があるのは当然のことです。
医療事務は、従来から求人数も多く、正職員・派遣職員・パート・アルバイトなどの勤務形態で募集が行われていますが、ここでは正社員(正職員)の平均的な給料、待遇や特徴などについて紹介します。
医療事務(正職員)の給料・昇給・残業・賞与・退職金について
給料について
医療事務の正職員の給料については、従事している医療機関や規模の大小によっても異なりますが、他業種の一般企業の事務職と比較しても、賃金には大きな差はないよう思います。
実際に日本医療労働組合連合会『2013年度賃金・労働時間等実態調査』で公表されている医療事務職の月額賃金の年齢推移を確認してみると、次のような金額になっていることが分かります。
月額平均賃金推移(円) | 初任給 | 35歳 | 50歳 |
高卒 | 155,838 | 251,944 | 325,320 |
大卒 | 179,738 | 258,598 | 336,030 |
このデータを見てみると初任給は15万円〜18万円程度で、高卒初任給は約15.6万円、大卒初任給は約18万円という数値が公表されています。
一般企業が募集している未経験OKの事務職求人内容を確認しても、やはり月給15万円〜18万円代で募集している会社が沢山あるので、医療事務の初任給と似たような水準だと思います。
また、一般企業と比較して医療事務は年齢や学歴を重視して採用することが少ない傾向にあるため、着実に経験を積み高いスキルを身に付けていくことで、給与の開きは解消されていきます。
このように、年齢や学歴における大きな賃金格差が少ないということについては評価できる点です。
昇給について
医療事務の昇給については、全日本病院協会「医療従事者の給与に関する調査結果報告書」で公表されている内容を確認してみると、次のような給与体系の仕組みになっていることが分かります。
- 年功給で勤続年数の一定年齢まで昇給する医療機関は約47%
- 職能給を基本として昇給する医療機関は約30%
- 公務員体系に準じて昇給する医療機関は約19%
要するに、勤続年数が長くなれば給料もそれに伴って昇給するという医療機関が半数近くを占めているという状況です。
次に、医療事務として勤続した年数別の平均昇給額を見てみると、年収ベースでは次のようになっており、職歴=経験=高スキルと見なし順次昇給していく仕組みになっているようです。
勤続年数 | 職歴による平均年収 |
3年 | 292万9,690円 |
10年 | 355万8,790円 |
20年 | 441万8,620円 |
30年 | 506万9,490円 |
医療事務の場合は、仕事をしながら新たな資格を取得し技能を身に付けることもでき、経験を積みレベルアップしていくことによって、将来的に給料アップや高待遇につなげていくことも不可能ではありません。
さらに、多くの業務を経験し、専門的な技能を習得していれば、レセプト業務の請負など個人で仕事を受注し活躍することもできます。
残業・夜勤当直・賞与について
月末から翌月初にかけては医療事務のレセプト請求期間で繁忙期にあたります。
規模の小さい医院や診療所などでは、職員が少ないので、レセプト作業を診療時間が終了した後に実施している場合がほとんどで、この期間中は仕事が集中し残業が多いため、給与も多くなります。
また、夜勤当直が勤務に含まれている医療機関では、通常よりも若干高めの基本給となっていることが多いようです。
さらに、正職員になると給料以外に賞与(ボーナス)や残業代の支給があるので、派遣やパートより収入面では安定しているのが魅力です。
退職金について
正職員の場合、退職金があるところがほとんどですが、給与と同様で、医療機関の規模や勤続年数によって全く異なります。
結婚・出産のために一旦退職し、子育てが落ち着いたら復帰して働き続ける人が医療事務職は多いので、正社員として仕事に就く場合は退職金の有無もしっかり確認して就活を行うべきです。
正職員 医療事務関連職の平均的な収入と勤務時間
クリニックの医療事務責任者の正社員(正職員)の場合- 年収:300〜400万円程度
- 勤務時間:4週8休・残業なし
- 月給:18万円前後
- 勤務時間:シフト制・残業あり
- 年収:330万円前後
- 勤務時間:4週8休・残業なし(日曜・祝日休)
- 年収:100〜400万円程度
(実績や能力によって、かなり幅があります) - 勤務時間:仕事により異なる
医療事務の正職員として働く場合のメリット・デメリット
メリット
- 公的な社会保険が完備されており、生活や雇用が安定し将来的にも安心できる。
- 産休や育休などの福利厚生が充実しており、育児などに専念できる。
- 賞与や資格手当などもあり、収入が安定している。
デメリット
- 仕事に対する責任やプレッシャーが大きい。
- レセプト期間中は休暇がとれず残業も集中する。