カルテの作成・管理は患者個人情報や診療歴を扱う重要な業務
外来受付窓口業務の中で新規来院した外来患者に対しては、カルテの作成や管理が必要になります。
また、患者から得た個人情報は正確にカルテに記載し、厳正に保管・管理出来るような仕組み作りが常にも求められます。
ここでは、新規患者に対する外来受付からカルテを作成し診療科へ搬送するまでの手順と、カルテの具体的な作成方法や管理方法について見ていきましょう。
受付業務について
診察申込書を患者に記入してもらい保険証と共に受け取り、加入している医療保険の種類や患者情報をチェックし、必要な準備ができれば各診療科へ患者を案内します。
新規患者の場合、保険証と患者が記入した診察申込書を提出してもらい、保険証の確認や必要書類の準備を行ってから患者を診療科へ案内します。
再来患者の場合、患者から診察券を受け取り、準備ができれば待合室から各診療科へ患者を案内します。
カルテの作成・発行について
新規の患者情報を登録することをカルテの上書きとも言いますが、これは患者のカルテ作成業務のことです。
新規外来患者のカルテ作成で、カルテ帳票の上段に設けられている患者名、保険者番号、住所、生年月日、電話番号などの患者の個人情報について書き込むことを新患登録といい、この作業をカルテの上書きとも言います。
新患登録された部分には患者の保険証情報などが記載されており、レセプトを作成する際、この情報が上書きとしてそのまま転記され使用されるため、カルテの新患登録を行う場合は、過誤のないように慎重に確認しながら記載する必要があります。
新規患者の場合、カルテの新患登録を行いカルテ作成し、診察券、会計カードの発行作業も共に行います。
再来患者の場合、診察券をもとに患者のカルテを検索し準備します。
カルテは、病院経営においても最も重要なデータ書類になり、患者の診療履歴や個人情報など多くのプライベート情報が記録されるものです。
カルテは、病院経営に活用できるだけでなく、レセプト作成を行う場合にも必要となる書類です。
カルテの記入区分については、医療事務が記入する部分と医師が記入する部分があります。
医療事務が記入する内容には、患者名、住所、生年月日、性別、保険証、その他基本情報などがあり、医師が記入する内容には、患者の診療・病状・処方薬剤に関する医療処置の内容や履歴があります。
患者が受けた医療行為については、医療事務が勝手に記入することはできません。
カルテの発行は、コンピユータ入力、手書き記入、保険証や診療申込書のコピー添付など、各医療機関によってその処理方法は異なります。
現在、多くの医療機関で電子カルテの導入が進んでおり、コンピュータ入力し電子データで記録を残す病院も多くなっています。
電子カルテは、手書きカルテとは違い保存や書き換えの利便性に優れ、保存されたデータを患者の累積データを検討し医業経営に活用、経営指標となる統計的なデータ分析、会計の自動計算、処方箋の自動発行など、病院経営の改善や効率化に活用できるという利点もあります。
逆に、電子カルテは、セキュリティ面では患者の個人情報の流出防止機能、トラブルシューティング面では機器・設備・システムの故障対応、医師のメモ書きなど微妙な表現まで表現した入力は出来ないなどの指摘課題が残されています。
カルテの搬送について
患者情報のコンピュータ入力が完了し、カルテ、診察券、外来指示書、会計カードなどが出来上がれば、それらの書類をセットにして各受診科に搬送し患者を案内します。
書類の搬送方法も医療機関によって異なり、患者が受診科まで持って行く場合、医療事務や担当スタッフが運ぶ場合、エアーシューター(気送管)などで搬送する場合などがあります。
カルテの管理について
カルテ(診療記録)の管理方法は医療機関により異なります。
保管については、規模の大きい医療機関(病院)にはカルテ室があり、規模の小さい医療機関(医院・診療所)は、受付窓口の近くにカルテ保管棚が設置されているところが多くあります。
保存期間については、治療内容ごとに規定されているため、保存期限がくればカルテを整理し保管場所や置き位置を変更することも必要になります。
検索方法については、棚から頻繁に出し入れすることが多いので、診療科別、患者登録番号順、患者名五十音順など、出し入れしやすいように各医療機関で工夫されていますが、治療通院中と通院中ではない患者のカルテに区分けして整理し管理する必要があります。
医療事務員からのレセプト照会、医師や看護師からの診断書作成などのために、カルテの貸出しも頻繁にあるので、カルテの貸出し帳を作成し、貸出し日、貸出先、貸出し者などの記録を残すなど、カルテの紛失防止のための工夫も必要になります。
これも医療事務の大切な業務の一つとなります。
診断から会計業務について
カルテが診療科に搬送され医師の診察が終了すれば、各診療科の医師が記入作成した会計カード、処方せん、カルテなどが、会計窓口に搬送され、医療費の算出が行われ患者には自己負担分の診察代が請求されます。