ここでは、医療事務の知識として精神保健福祉法における精神障害者の入院方法の種類、公的負担と医療保険との関係について見ていきたいと思います。
精神障害者の入院方法と種類について
精神障害者については、保護者と保佐人が寄り添い、本人にとって不利な状況や問題が行らないように見守り手助けすることになります。
保護者とは、扶養義務者、配偶者、親権を行う者がなり、保佐人は、精神障害者の後見人がなります。
保護者は、次に示す内容について実行する責任が伴います。
- 精神病院などの医療機関で適切な治療を精神障害者が受けることができるようにする必要があります。
- 精神障害者の財産上の利益を守り棄損させないようにする必要があります。
- 精神障害者が医療機関を受診した際、医師が正確な病状判定を下すことができるように協力する必要があります。
- 医師が精神障害者を治療するために指示したことは順守する必要があります。
また、全ての国民は、自分の周りで精神障害者あるいは精神障害者ではないかとの疑義を抱いた者を発見した場合、都道府県知事に対して精神保健指定医による診察と本人を適切に保護するよう要請することが可能です。
もし精神障害者あるいは精神障害者の疑いのある者について、通報や届出が行われ、さらにその真偽を調査・確認することが必要であると判断されたとき、都道府県知事は精神保健指定医に診察を実施させる義務を負います。
精神障害者の障害の程度に合わせて任意入院、医療保護入院、措置入院、緊急措置入院、応急入院などの入院措置が実施されます。
入院の種類と概要
- 任意入院とは:
精神障害者に病状などの説明を行い、本人が同意してから精神科病院に入院してもらうという基本的な入院措置をいいます。 - 医療保護入院とは:
上記の任意入院が通常基本ですが、本人に入院する必要があるということを丁寧に説明しても本人が拒否して受け入れない場合であっても、精神保健指定医が入院することが妥当だと診断した場合、扶養義務者や保護者が同意すれば精神病院の管理者は本人の同意を得ていなくても精神科病院に入院させることが可能になる入院措置をいいます。 - 措置入院とは:
診察した結果、精神保健指定医2名が、早急に入院させないと、精神障害により他人や本人自身に害を及ぼす可能性があると同じ診断を行った場合、指定病院となっている精神科病院に政令指定都市の市長又は都道府県知事からの指示によって本人を入院させることが可能となる入院措置をいいます。 - 緊急措置入院とは:
上記の措置入院を行うことが困難な場合、本人の同意が得られなくても、精神保健指定医1名の診断結果で3日間までであれば、指定病院となっている精神科病院に政令指定都市の市長又は都道府県知事からの指示によって本人を入院させることが可能となる入院措置をいいます。 - 応急入院とは:
任意入院、医療保護入院、措置入院を実施することが困難な場合、本人の同意が得られなくても、精神保健指定医の診察を受けた後、3日間までであれば、応急入院指定病院に限り入院させることが可能となる入院措置をいいます。
精神保健福祉法の公費負担と医療保険との関係について
精神障害者に対し措置入院及び緊急措置入院が適用された場合、診療にかかった医療費は原則公費から全額負担されますが、医療保険が適用され医療給付を受けることが可能な場合は、医療保険より給付された費用については公費からの費用負担対象外となります。
要するに、公費で負担される金額は、患者が一部負担した費用のみが対象です。
また公費負担の対象外に該当する入院方法は、医療保護入院と応急入院になります。
各種医療保険法に基づく医療給付と高齢者医療確保法に基づく医療給付は同じ仕組みで実施されます。