このページでは、医療事務の知識として、どのような病院や患者が診断群分類別包括評価(DPC)の適用対象となるかについてみていきたいと思います。
診断群分類別包括評価とは何か?
入院した患者の診療内容や病名に合わせて診断群分類を行い、分類内容別に1日単位で費用を規定した医療費の算出方法を診断群分類別包括評価(DPC=Diagnosis Procedure Combin)と呼びます。
元々は1970年頃のアメリカの一般産業で行われていたQC活動を、医療分野で有効活用するための研究として診断群分類は考案されました。
QC活動とは、英語ではQualily Control (品質管理)と呼ばれ、現在、日本でも各業種、数多くの企業や団体の職場で取り組みが行われ、品質向上、作業や業務の改善、生産性の効率アップに活かされている活動を言います。
当初、病院などの医業経営に関しての治療方法や費用などについて、病院別に比較検証し研究する為の基本数値として使用することが主目的であった診断群分類は、DRG(Diagnosis Related Group)と呼ばれていました。
この診断群分類は、医療における人的又は物的な資源、いわゆる医療資源の必要度合や、臨床的な類似性や診断などを基に、統計的に患者を分類し整理するための手法として活用されていました。
その後、65歳以上のお年寄りなどが給付対象となるアメリカの公的医療保険制度であるメディケアの入院医療費の支払いシステムとして用いられ、診断群分類別の包括的な支払い方法に用いられています。
2003年より取り入れられた診断群分類別包括評価(DPC)は、急性期入院医療の診断群分類に準じて1日ごとの包括的支払いを規定したシステムで、日本独特の診断群分類方法となります。
DPCの対象となる医療機関とは?
厚生労働大臣が規定する病院や調整係数別票にうたう病院の一般病棟、厚生労働大臣が指し示す病院の病棟がDPCに基づく包括評価の対象となる病院です。
ちなみに、医療機関別調整係数として厚生労働大臣が規定した数値を表記した別票を調整係数別票と呼びます。
DPC対象病院として定義されている医療機関とは、DPC導入においての影響度調査に共に取り組んだ調査協力病院の中で規定された基準を満足した病院や、DPC包括評価の対象となっていた特定機能病院が該当します。
高度医療の提供、技術開発とその評価、関連する研修を実施する医療機関を特定機能病院 と呼び、厚生労働大臣より特定機能病院の承認を得るには、病院側から申請を行う必要があります。
また、DPC準備病院と定義付けされている医療機関とは、DPC対象の病院として指定されなかった病院がDPC適用病院となることを望んでいる時です。
DPCの対象病院となった医療機関は、その旨を、院内で誰もが目に付く場所に掲示することが義務付けされています。
DPCの対象となる患者とは?
医療機関でDPC対象に指定されている病院の一般病棟に入院している患者で、診断群分類点数表に定められている診断群分類区分に合致している患者がDPCの対象となります。
但し、療養及び精神病棟に入院している患者は適用除外となります。
ちなみに、診断と治療内容を取り混ぜた診療分類で記載した包括評価の点数表が診断群分類点数表と呼ばれるものです。
患者がDPCの対象除外となるケースとは?
- 回復期リハビリテーションや地域包括ケアの病棟など、一般病棟以外に入院している患者
- 入院してから24時間以内に死亡した患者
- 生後1週間以内に死亡した新生児
- 薬事法で定められている治験の対象者
- 臓器移植の手術を行う患者
- 先進医療の療養対象者
- 厚生労働大臣が別途規定する患者
- 歯科、口腔外科の診療を受ける患者
- 自賠責保険や労災保険が適用される患者
※7項については、
厚生労働省保険局医療課「DPC制度の概要(DPC包括算定の対象患者(対象外の患者)p13以下」を参照下さい。