入院に伴う業務-医療事務仕事4

入院収入は医療機関の収益の内、多くを占めている

 外来または入院における診療費が病院における主な収入源になります。

病床が設けられている医療機関では、入院での診療費収入が全収入の約60%を占めているので、入院患者に対するサービスの質をどのように高めていくのかは、収益に大きく反映されるため、病院での重要な経営課題といえます。

患者が病院に入院できるのは、通院では診療が難しかったり、病状の変化を注意深く観察する必要がある場合、救急搬送されたり、他の医療機関から入院依頼があった場合に限って認められています。

医療事務が担う入院手続きの流れと業務内容

 患者さんが入院する場合、医療事務は入院に関する手続きと、入院に伴う多くのサポート業務を行う必要があり、入院手続きに関する仕事は次のような流れに沿って行います。

1. 入院予約

 空きベッドを待っていたり、入院予約をしている患者に対して、医療事務スタッフは全体の予約状況を把握し、入院日が決まれば患者に連絡を入れます。

2. 入院指示書の受理

 患者からの入院手続きは、まず入院指示書を受理することから始まります。

入院治療の必要性については、患者を担当している主治医の判断が必要で、最終決済は院長が行うことが基本原則となっています。

正式に入院が決定すれば、緊急入院を除いて、患者には担当医師が作成した入院指示書が発行されますが、書式は各医療機関により異なります。

入院指示書には、患者の基本情報や注意事項、入院に関する日程など次のような事項が記載されます。

  • 患者氏名、生年月日
  • 入院年月日、入院までの状況・経過
  • 病室等の緒条件
  • 食事制限の有無と条件
  • 主な病状、手術予定日

医師から入院目的や入院期間などについて患者は説明を聞いた後、入院指示書を受け取り、それを入院受付窓口に提出することで、入院手続きがスタートします。

3. 入院カルテ、入院案内書など、基本関係書類の発行

 患者から提出された入院指示書を医療事務が受け取り受付完了すれば、入院日までに必要な書類を作成し準備を行います。

必要書類には、入院患者用のカードやカルテ、レントゲン写真や心電図などの検査資料などがあります。

また、入院日がわかっている場合は、入院病棟、治療設備、入院時に持参する物品など、患者に必要となる事項を入院案内書に記載しておき、患者に入院前に配布したり送付するなどしておきます。

緊急入院や予約入院で患者が入院した場合は、病棟へカルテを迅速に搬送します。

4. 入院費用などの説明

 医療事務は入院診療費などについて患者から相談を受けることも多く、患者に納得してもらえるように説明を行う必要もあり、医療全般の基礎知識や入院診療費に関して専門知識など幅広い知識が求められます。

 また、長期入院の場合は、期間が長引くほど診療費が高額になるので、負担費用が増大し、患者が支払いに困ることも考えられます。

そんな事態に備えて、医療事務は患者が入院する前に、概ねどのくらいの入院費用が必要になるのか患者に事前説明しておくことが必要になり、高額療養費制度や貸付制度などについての案内も行います。

 医療事務は、次のような業務を行います。

  • 入院費の説明
  • 入院費支払いの応相談
  • 入院予約や空きベッド待機患者への入院日の連絡
  • 緊急入院時の事務的対応
  • 長期入院で高額費用が必要な場合、高額療養費制度や貸付制度等の説明や案内

 患者への入院診療費の請求は、定期的に月2回程度行っている医療機関が大半です。

その多くがコンピュータシステムで対応しているので、請求日を設定しておけば自動で金額を算出し、請求書の発行処理を行えるような仕組みになっています。

入院診療費について

 入院診療費とは、入院基本料、入院時食事療養費、手術料、処置料、投薬料、注射料、検査料、画像診断料などの入院時に施される診療行為にかかった費用の合計額を指します。

健康保険法では、患者の入院時1日当たりの食事代の標準負担額が定められています。

医療保険の適用となる入院診療費については、患者が自己負担する金額は限られていますが、中には全額自己負担となるケースもあります。

全額自己負担となる入院診療費には、次のようなものが該当します。

  • 第三者の行為(交通事故等)による診療費
  • 正常分娩の診療費
  • 有料の個室料
  • 健康診断の費用
  • 診断書、証明書などの文書料などの費用

高額療養費制度について

 病院で診療を受け1ヶ月間で高額な医療費を支払うことになった場合は、申請すれば一定金額を超過した費用が払い戻される仕組みを高額療養費制度と言います。

還付金算出基準は、原則個人ごとに外来診療費別、入院診療費別に計算されます。

年齢別では70歳未満、70歳以上75歳未満、75歳以上と区分され、所得によって上限自己負担額や還付金基準額は異なります。

5. 病棟へ案内

 医療事務は各種入院手続きが完了すれば、入院に関しての必要事項、注意事項を患者に説明し、入院病棟の案内を行います。

6. 患者入院中の業務

 医療事務は、患者が入院し治療を行っている期間中は、入院台帳の作成、各種伝票の処理、面会者が来れば病室への案内を行います。

また、担当医師、看護師、病院食や病室清掃などの関連職員とも密に連絡を取り、連携して患者の入院受け入れを支援するなども大切な仕事の一つです。

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