保険外併用療養費とは
医療機関で診療を受ける場合、医療保険を使うことができない保険外診療が診療項目に含まれている場合、医療保険の対象となる診療までも合算されて、健康保険では、医療費のすべての費用が自己での実費払いとなります。
ですが、「評価療養」及び「選定医療」として厚生労働大臣が規定する項目に関しては、保険外診療を受診するケースでも、保険診療と共に診療することが許可されています。
診察・検査・投薬・入院といわれる一般的な治療と同じような内容に該当する負担額に関しては、保険診療と同じようにみなされ、一部負担金という位置付けで支払いをすることになっています。
それ以外の費用に関しては、健康保険より「保険外併用療養費」という名目で保険給付が実施されます。
保険外併用療養費として彼扶養者に関する部分は、家族療養費という名目で給付が実施されます。
先進医療を受けた場合
先進医療は、患者の経済的負担を少なくするため、患者の安全性を担保し、使い勝手を良くしたり選択範囲を広げるために、選定療養という形で扱われ、保険診療との同時利用が可能です。
有効性や安全性を確実に担保する目的で、医療技術毎にしかるべき施設基準を取り決め、施設基準にあてはまる保険医療機関は、届出を行うことで保険診療との同時利用が可能となっています。
先進医療というものに関しては、今後保険導入をめざした評価を実施することと位置付けて保険診療との併用を是認した医療項目であり、実施保険医療機関サイドから一定サイクルで結果表を報告させるという様に定めています。
医薬品の治験を受けた場合
直接的に人の体に使用される医薬品の治験は、医薬品医療機器等法やその施行規則、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令などに基づき行われています。
保険外併用療養費が支給される対象期間は、実際に治験を行っていた期間で、かつ治験対象患者別に支払われることとなっています。
画像診断や検査等、直接治験と関係ない費用については、治験と医療保険制度の費用を平等・適切にそれぞれ負担できるように、保険外併用療養費の支給対象から除外されています。
治験を開始する時は、患者に向けた情報提示を基本原則とし、患者が制約を受けることなく選択でき、かつ承諾を得る必要があります。
保険外併用療養費の支給対象外になるケースとしては、患者に治験の内容や情報を公開・提供することが医療的観点から適切ではないと考えられる状況に該当する時などです。
※医薬品医療機器等法
医薬品、医療機器、等の有効性や安全性を適切・確実に保持することを目的とした法律を指します。
※医薬品医療機器等法施行規則
大臣が発動できる命令などで、法律・法令を施行する際に必要となる細則について記載された規則や命令を指します。
特定療養費から保険外併用療養費制度への移行
健康保険法は2006年10月に改正が実施され、保険外併用療養費制度へこれまでの特定療養費制度から移行されました。
高度先進医療と特定療養費(入院する際に室を患者個人が選んだ際発生する室差額費用、いわゆる選定療養)に関しては、保険診療との同時利用が可能であったのが特定療養費制度といわれるものでした。
厚生労働大臣が指定している高度先進医療を都道府県知事が承認した特定医療機関で受診・治療を受けた際には、特定療養費の支給対象として認められ個人負担額を超過した費用の給付を受けることができました。
給付対象外の項目としては、高度先進医療の技術料部分がそれに該当し、費用は被保険者の全額実費払いとなっていました。
保険外併用療養費制度へ移行したことにより、選定療養(保険導入の可能性がない項目)と評価療養(保険導入の可能性がある項目)の2つに再区分されました。
評価療養にある先進医療には、高度先進医療が包括されることになり治験も評価療養に含まれています。
入院時の個室の室料差額や歯科治療での金歯など、特別に患者が自己負担することとなる項目に関しては、選定医療に区分されました。
消費税の課税該当となる医療項目は選定医療で、評価療養は課税対象とはなりませんが、この点は今までの特定療養費と同じ扱いです。