ここでは、医療事務の講座でも学ぶ医療保険制度の老人保健法と後期高齢者医療制度について解説します。
老人保健法とは
老人保健法は、1983年(S58年)2月1日に制定された法律ですが、この法律は1963年(S38年)8月11日に制定された老人福祉法を前身として制定された法律です。
全国民が老後を安心して穏やかに迎えられるようにするため、病気の早期発見・治療、予防などについて、壮年期から必要となる医療費を、公平に全国民が負担するという主旨の法律です。
『より効率的かつ良質的に老人診療報酬の設定を推進するという観点で、老人の心身の特性等を踏まえ、在宅医療の促進、入院医療の適正化等を図るものとする』という目的で、1988年(S63年)4月に改正されています。
老人保健法では、医療保険に加入していて次に該当する者に適用され医療給付が行われます。
- 65才以上の寝たきりなどの障害者
- 75才以上の者
法改正として、2002年(H14年)10月1日以前は、「70才以上」が老人保健法の対象者でしたが、その後、「75才以上」に引き上げられました。
但し、2002年(H14年)9月30日時点で70才以上の方は、75才以上と見なして、老人保健法適用の対象者として扱われ、老人医療を受給できる者となっています。
また、75才の誕生月までは「高齢受給者証」が前期高齢者という扱いで発行されます。
老人医療対象者となるのは誕生月の翌月からですが、75才の誕生日が月初日の場合は前月までが前期高齢者扱いになります。
一部負担金に関しては、入院も外来も1割負担の定率となっており、老人医療対象者と同じです。
但し、所得者が一定以上ある場合は2割負担となります。
後期高齢者医療制度とは
1983年からスタートした老人保健法でしたが、2008年からは「後期高齢者医療制度」の運用がスタートしました。
後期高齢者医療制度では、75歳以上の高齢者を国民健康保険から離脱させて、後期高齢者として長寿医療制度に自動的に移行加入してもらうという制度です。
以前の医療サービスは、国民健康保険と老人保健を併用してサービス提供していましたが、老人保健法は廃止され現在に至っています。