病院に来院した患者さんの中には深刻な病状を抱えている方も少なくなく、病気や障害により心が不安定な状態に陥っている場合、医療スタッフや受付の医療事務員の何気ない言動や応対に腹を立てて怒ったり、無理なことを言い出したりする場合もあります。
医療事務員として応対している場合に、このような患者さんと遭遇した際には、どのような言動や態度で対応すればいいのかについて考えてみたいと思います。
病院などで患者が利己的な態度を取りがちなのは何故?
患者が病院に来る目的は、病気や怪我による苦痛や苦しみから診療を受けて開放してもらうために来院するわけです。
当然、身体的な痛みだけでなく、精神的にもストレスを抱え興奮したり、イライラしたりなど情緒不安に陥りがちです。
要するに来院してくる患者は、多くの方が精神的に不安感を抱えながら受診に訪れているわけです。
なので、自分のことで精いっぱいになり他人を思いやる心の余裕はなく、医療事務員の態度や言葉使いに過敏に反応し、ちょっとしたことでも気に障ったり不快感を感じたりして怒りっぽくなったり、無理なことを言い出したりすることも少なくありません。
患者の利己的な身勝手な態度が医療業務の妨げになり、思わぬ事態を引き起こすこともあり得ます。
また、患者のわがままからくる要望には、時として医療事務員の職務範囲では対応できないような無理難題とも思える要求内容もはあります。
だからと言って、患者への対処の仕方を医療職が一歩でも間違えば、患者からの不満や不信を増幅して顧客満足度にもマイナスとなり、医業経営にも悪影響が生じる場合もあります。
病院の医療サービスが気に入らないと感じた患者は、まず直に苦情を言いますが、次に病院には来なくなり、最終的には医療機関の運営団体に苦情を訴えたり、隣近所に評判をふれて回ったり、SNSなどに書き込んだりすることになります。
実際は患者の単なるわがままであっても対応しだいでは、医療機関の死活問題にまで発展することもあるわけです。
これは医療スタッフや医療事務員の個人的な考え方や判断力では対応できるレベルの話ではありません。
なので、医療機関としてケース事例別の対処方法や行動指針を明確にし、職員のコミュニケーションスキルを養う訓練なども行っておく必要があります。
患者の精神状態や態度
医療機関に受診に訪れる患者の精神状態の程度にもよりますが、概ね次のような精神状態で来院し、様々な態度や言動をとることを医療事務職はよく認識しておくべきです。
- 病気や障害による身体的な痛みや苦しみ。
- 精神的ストレスや不安感。
- 興奮状態やイライラとした感情による精神的に不安定な状態。
- 医療事務員や医療スタッフの言動や態度に過敏に反応し立腹する。
- わがままを言い出したり、無理な要求をしたりする場合がある。
ホスピタリティ・コミュニケーション技術とは
構えの3要素とは
ホスピタリティを前提としてその場に応じて適切に対応し、情緒不安定な患者さんとも上手くコミュニケーションを取るには、正しい心のあり方・気の持ち方・姿勢や態度の3つの観点で普段から構えておくことが必要になります。
何の備えもなく突然目に前に問題が起こっても対応できないからです。
医療事務職や医療専門職は、職場では普段から前向きな考え方を持ち、自分の置かれている立場や状況を認識し、どう対応すべきかというポジショニングを意識することが大切です。
その上で、直面する状況を正確に把握し、その場面に適切な考え方・やり方を検討してみるということを行いますが、このような思考方法をホスピタリティ・コミュニケーションスキルとも言います。
適切な状況判断の3要素とは
常日頃のから心・気持ち・姿勢の3つの観点で備えができていれば、医療事務としての自分の立ち位置が明確になります。
後は、自分がとる行動により将来どのような影響があるかという考え方と、臨機応変な対応方法やタイミングなど実際のやり方を検討することで、突発的な事態と直面しても、迅速で適切に対応できるようになります。
患者からの無理な要求や状況にも応えることができるので、表面的でその場しのぎの対応でなく、患者との深い関わりやコミュニケーションを重視することが比較的楽になります。
その結果、患者に感動を与え心から満足してもらえるような医療サービスを行える医療機関へと変革していく切っ掛けにもなります。
医療事務は、病院スタッフの中でも患者さんと接する機会が断トツで多いため、来院する大半の患者さんは精神的に不安定であること、その結果わがままになりがちであることを日頃からよく認識し、どう対応すればいいのかをシュミレーションしておくことが求められます。
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