医療機関の種類と役割による医療施設の再編
医療法では、医療機関の種類や施設の役割が定められており、下記の5種類の施設に大別されます。
1. 病院の定義と役割
病院とは、公衆・特定の多数人を対象に医師(医科・歯科)が医業を施す場所で、なおかつ20人以上の患者を収容できる設備を持つ施設のことを言います。
収容できる設備は入院可能なベッドのことで病床ともいいますが、ベッド数が多く設けられている医療機関は部屋数も多く必要となり、建屋面積も大きくなるため、必然的に病床数が多い病院ほど規模が増していきます。
レセプト業務で診療報酬点数を算出する際も患者収容できるベッドの数は関係し、診療報酬の金額にに影響します。
また、その役割により病院と言われている施設では、次のような呼称が使用されることもあります。
特定機能病院とは
特定機能病院は、概ね規模の大きい医療機関である大学病院などが指定されています。
医師の配置人員数も特定機能病院は普通の病院の2倍以上配置することと定められています。
- 特定機能病院は、医師1人以上で入院患者8人を担当します。
- 通常の病院は、医師1人以上で入院患者16人を担当します。
特定機能病院は、高度医療についての、提供能力、技術開発力、評価能力、研修実施能力などの実行能力を備えている施設と定義されています。
以上のように高度医療サービスを適切に提供する役割を持った医療施設ということから、必要な医療専門家の人員配置についても、一般医療機関より多くの人員数を置くことと医療法で規定されています。
地域医療支援病院とは
地域医療支援病院という呼称は1998年度よりが用いられるようになり、地域住民が必要とする医療サービスを提供するという考え方が元になっています。
地域医療支援病院と謳うには、規定された要件をクリアすることが条件となっており、都道府県知事からの承認を受けて使用することが出来ます。
2. 診療所の定義
診療所とは、公衆・特定の多数人を対象に医師(医科・歯科)が医業を施す場所で、なおかつ収容設備が備えられていない施設、又は19人以下の患者を収容できる設備を持つ施設のことを言います。
また、19人以下の患者を収容できる設備を備えている施設を有床診療所と言います。
3. 療養型病床群の定義
療養型病床とは、長期間に渡って療養を要する患者を収容できる病床を指し次の2つが挙げられます。ます。
医療保険の適用対象となるものは医療療養病床、介護保険の適用対象となるものは介護療養病床とそれぞれ呼ばれています。
厚生労働省が示した施策では、2006年当時で約25万床あった医療療養病床を2012年には約15万床まで減らし、2006年約13万床あった介護療養病床を2012年には約23万床に拡充させるという目標が設定されていました。
4. 老人保健施設の定義
老人保健施設は、2008年以前は老人保健法により規定されていましたが、2008年からスタートした後期高齢者医療制度に移行されました。
現在は介護保険法の定めに従い介護老人保健施設が運営されており、要介護者が在宅生活できるようになることを目標として自立支援を行う施設です。
支援内容は、医師による医学的管理下での介護スタッフによる介護や看護師による看護、作業療法士や理学療法士の指導下での機能訓練、その他必要と考えられる医療などを、24時間体制で各専門職が担当し提供しています。
5. 調剤薬局の定義
病院を受診した患者で薬物治療が必要な場合、医師は処方箋を発行します。
患者が提出したこの処方箋に従い、薬の調剤を行える薬局を保険薬局(調剤薬局)と呼び、医療法では医療施設として定義されています。
各医療機関の主な役割
医療機関は患者への診療行為の内容により、以上のように分かれていますが、医療機関における役割を要約すると下記のようになります。
療養病床に関しては再整備されることになりますが、これ以外の医療施設の役割分担や施設の統廃合が、今後、厚生労働省により施策として発表される可能性もあります。
- 特定機能病院:
高度な医療を提供する施設 - 地域医療支援病院・一般病院・診療所:
急性期の一般患者を診療する施設 - 一般病院の療養病床:
長期に渡り入院を要する患者を受け入れる施設