ここでは医療機関が提出する診療報酬明細書(レセプト)での診療報酬請求に対する審査のしくみを解説します。
保険診療の流れについて
医療機関で作成されたレセプトは、来院した患者が入っている保険により、社会保険診療報酬支払基金か国民健康保険団体連合会に提出され、この第三者機関で審査が実施されます。
社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会でレセプト審査が行われた後、保険証の発行元である保険者へ送付され引き続き審査が再度行われます。
審査後の結果には減点と返戻の2つのパターンがあります。
返戻について
返戻とは、レセプトに記載漏れ、記載間違いなどの誤りがある場合、審査後医療機関へ返却されることをいいます。
レセプトが返戻されると、医療機関で修正した後、再度提出することになります。
減点について
減点とは、レセプトの事務点検・内容点検のページで解説したように審査で保険診療として承認されなかった場合を言います。
減点と判断された場合は、増減点通知書が送付され、レセプトそのものは返却されず、通知書の減点内容は「不必要」又は「過剰」という記載がほとんどです。
再審査請求や異議請求とは
再審査請求や異議請求とは、減点と判定された診療について医療機関より再度申請することを言います。
再審査請求には次の2つの方法があり、減点内容に対して実施した理由を明らかにし復活してもらうよう掛け合います。
- 文書での再審査請求:
理由を文面で記載し提出する方法で医療事務職員が書類を作成します。 - 面談での再審査請求:
審査機関へ医師が訪問し直接担当者と面談して交渉する方法で医療事務職員も医師に同行します。
以上のような方法で交渉しても、一度減点されると実際は復活してもうことは困難となります。
返戻や減点は医業収益を圧迫する
返戻や減点などの状況を招くと、診療報酬の入金は1ヶ月以上遅れ医療機関の資金繰りに悪影響を与える一因となります。
また、同じ状況が多く発生すると、その不足金額も多額になり、新たに借入金が必要となるかもしれません。
借入金が増えれば利息も増え医業収益を圧迫し死活問題に発展します。
以上の説明からもわかる通り、医療事務としては返戻・減点・請求漏れは絶対起こさないという姿勢で仕事に取り組む必要があります。