ここでは医療事務が行う診療報酬明細書(レセプト)点検業務の中の内容点検から確認してしていきます。
内容点検のチェック内容としては、診療報酬点数制度的・医学的に病名と診療内容について整合性があるかの確認を行います。
レセプトの内容点検とは
下記のような診療が実施されたと仮定して、レセプトに記載された内容が保険請求上で問題がないかを確認していきます。
この場合の確認ポイントは、処方された医薬品の用法・用量・効能と病名です。
病院外来で体調を崩した40歳女性が医師の診察を受けた結果、病名が感冒(風邪症状)と診断確定され、次の3種類の医薬品を3日分処方されました。
- ロキソニン錠(60mg/錠)3錠
- PL配合顆粒3.0g
- ケフラールカプセル(250mg/c)3C
薬価基準に於いては、この3種類の薬は次のように定められています。
これらの内容を踏まえ病名との整合性についてチェックしていきます。
用法、用量については、ロキソニン錠、PL穎粒、ケフラールカプセルとも問題はありません。
効能で適応する症状については、ロキソニン錠、PL穎粒は風邪症状に対して効果を発揮する薬なので問題はありませんが、ケフラールカプセルについては、急性気管支炎が対象となっており少し疑問が生じます。
この3種類の薬はいずれも風邪症状で処方される薬ですが、急性気管支炎の場合は感冒より症状が重いのが通常です。
病名に感冒と記載されていると、ケフラールカプセルについては保険診療上承認されない可能性があるので、急性気管支炎という病名で記載する方が適切です。
感冒と記載された状態でレセプト提出を行った場合、ロキソニン錠、PL穎粒の診療報酬しか受け取ることができなくなる可能性があります。
通常は、一部負担金を患者さんに負担してもらい、残りは保険証を発行している保険者が診療費報酬として医療機関に支払うことになっています。
しかし、ここで説明したケースでは保険者から承認されず、ケフラールカプセルの費用は実質病院側が負担することになります。
患者さんに処方する医薬品については、医療機関が製薬会社から購入しているわけですから、製薬会社への支払い義務は残っているのに、ロキソニン錠、PL穎粒の診療費分しか入金しかしてもらえないという状況に陥ります。
このような事態が積み重ねると、最終的に病院の医業経営に悪影響を及ぼすことになりかねません。
以上のことから、医療事務職員が行う診療報酬明細書(レセプト)点検業務の内容点検は、大変重要な仕事であるということが理解してもらえたと思います。